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2010年7月 4日

進行ガンの統合治療

以下図の3つのバランスを考えた治療を行うことが重要となります。
進行ガンの統合治療
a)抗ガン剤治療はガンの大きさをコントロールには不可欠です。
しかし現在多くおこなわれている画一的な投与方法には疑問があります。たとえば、アルコールですら適量が個人個人で異なります。ましてや抗ガン剤に対する反応には個人差があってしかるべきです。抗ガン剤の少量投与や匙加減療法が望まれます。

b)日本はもっと放射線治療を積極的に取り入れるべきです。
放射線診断と放射線治療は当たり前のことですが違います。日本ではどうも放射線診断は頻回に行なわれていても、治療がいまひとつ行なわれていない印象がします。
1)腫瘍縮小治療
2)ガン性疼痛
に対しても放射線治療は有用です。早期ガン治療においても進行ガン治療においても、もっともっと放射線治療医が増えてくれば、ガン治療は一段と向上することは明白です。なぜなら放射線治療の精度や技術は格段に進歩しています。放射線医になる希望者が少ないのが問題なのです。安易に美容関係に進むドクターが多いことを危惧します。それには、経済的に放射線医を優遇することが必要です。

c)免疫療法にはいろんな療法はありますが、いずれの方法も原理や理論は魅力的で個人的には否定はしません。私自身も条件付でいくつかの免疫療法を行ないます。しかしこれらいずれの方法でも単独では決して目に見えるほどの大きさになっているガンの縮小効果はないと考えてください。たとえば、大きさが1cm大のガンがあるとするとそこには少なくても一億個のガン細胞が存在するとされています。一個のガン細胞を攻撃するには数十個のリンパ球(免疫細胞)が必要だと概算されています。免疫療法単独でなら、いくら体中のリンパ球を総動員してもたかが腫瘍1cm大といえども攻撃して消滅させることは不可能と思われます。三大療法のいずれかと併用しないと腫瘍縮小は望めません。もっとも目に見えないほどの大きさの残存しているガン細胞を攻撃したり、再発予防には一役買う可能性はあると考えます。

免疫治療の概説

私が考える現行のガン検診の弱点

参考までに私考える現行のガン検診の弱点を列記します。
1) 胸部単純レントゲン検査では1cm以下の腫瘍は写らないか見落とされてしまう可能性があります。

2) 胃バリウム検査は感度がいいとは言えず早期のガンは写らない可能性があります。実際にバリウム検査で異常を指摘されると胃カメラ検査にまわされます。その胃カメラ検査の結果で最終判断されていることでも明らかなように医師は胃カメラ検査を信用しています。

3) 上腹部エコー(胆のう、膵臓、肝臓、腎臓、脾臓など)はかなり有用な検査です。しかし膵臓に関しては明瞭に全体像を観察しづらいことがしばしばあり、特に太っている方は困難です。膵臓ガンの気になる方はこの検査のみでは早期発見は無理だと考えてください。

4) 大腸:便鮮血検査で多くは代用されています。これはかなり有用な検査ですが、直接内視鏡で見ることと比較すると当然信頼度はおちます。

5) 乳房;マンモグラフィーと乳房エコー検査は有用ですが、施設間での格差は大きいようです。またマングラフィー検査は痛みを伴うことが多く、胸壁側が死角になりやすい欠点があります。乳房エコーでは小さな播種性の病変は検出できません。

6) 婦人科領域:子宮頸部、及び子宮体部の両方の細胞診さらには経膣式超音波検査が必要です。自覚症状の無い方はこれらの検査に抵抗を感じる方も多いようです。

7) 前立腺および膀胱;PSAという前立腺の腫瘍マーカーと血尿の有無でスクリーニングされています。あまり下腹部のエコーは施行されていないようです。

上記の3)から7)までの検査はMRI検査が最適と考えます。

※特にお薦めしたい検査はビキニMRI検査(乳房と婦人科領域の検査をこう命名しました)です。



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