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食物について

wtGL50やwtGL25の値を意識しておくと血糖変動が予想しやすくなります。表を参考にして下さい。

すでに述べたことと重複している部分も多いかと思いますが、
1)野菜の主たる栄養は炭水化物です。しかし緑黄色野菜では一度には25g以上の炭水化物量はなかなか取れないはずです。それはジュースにしても言えると思います。
2)精白されているもの(GI値では白米>玄米、精白パン>小麦全粒粉パン)は主食となるのでその炭水化物量は特に要注意です。たとえばご飯をしっかり食べたい方は白米に玄米を混ぜて食べるとGI値が下がって血糖も上がりにくくなると考えられます。
3)果物は果物のままの方がいいでしょうが、果物はジュースにしても意外に血糖は上がらないと考えられます。ほかの飲料水では炭酸飲料水には気をつけて下さい。
例えばコカコーラやファンタオレンジなどはすぐwtGL25になってしまい同時におやつなどを摂取すると血糖値に影響が来ることが理解できると思います。
4)肉、魚、豆腐、かまぼこなどなどのたんぱく質は原則としては制限することはないでしょう。
腎機能が悪化しており、たんぱく質を過剰摂取すると体にかゆみが出てくるようなら控えてください。これはたんぱく質に含まれる燐による影響と思われます。たんぱく質の過剰摂取による腎機能障害が取りざたされていますが、これには賛否両論あってたんぱく質制限か否かについてははっきりとした結論は出ていないと考えられています。別に蛋白制限はしなくても良いという安心感を与えることは患者さんの食事の楽しみに繋がると思います。また老人のサルコペニアが問題になっている昨今はたんぱく質をきちんと摂取することが非常に大事なことです。当然の事ながら併せてきちんと運動することも必要です。
5)脂質についてもあまり制限しません。DHAや EPAなどの魚の不飽和脂肪酸は抗動脈硬化作用がいわれており、積極的に摂取するといいでしょう。

不飽和脂肪酸について更にいうと、一日量として掌一掴みのナッツ類を摂取する日数が多ければ多いほど心血管障害が減ったという論文が世界的な権威の雑誌のひとつであるNEJMに掲載されました。ナッツ類を取ることで良質な不飽和脂肪酸や豊富なミネラルがとれることによると論文には説明がありました。私はそれに加えてナッツ類を多くとることにより、炭水化物の多いジャンクフードの摂取機会が減ったという一面もあったのではないかと思っています。ナッツ類は栄養価が高く、炭水化物でないために血糖にはほとんど影響しません。糖尿病の方に特にお勧めの食物のひとつです。

飽和脂肪酸は患者さんの自由で良いと思っています。何故ならわれわれは動物ではないので、自由にいっぱい食べて良いといわれてもあまり体にとって過剰になるほどは食べられないものです。ただし脂肪は多く取りすぎると糖尿病を引き起こすという説を唱えるドクターもいらっしゃいます。昔は炭水化物がほとんどだったけれど、近年の糖尿病の増加は炭水化物量が増えたためではなく脂肪摂取量が増えたためだという説に立っています。脂肪摂取過剰による肥満とインスリン抵抗性の問題はあるかもしれません。

血糖の急激な上昇に関しては炭水化物が関与していることは誰もが認める事実です。脂肪摂取直後の血糖上昇への直接作用はなさそうです。脂肪過剰摂取による肥満やそれに伴うインスリン抵抗性などで間接的に血糖へ悪影響する事は当然考えるべき事です。

糖尿病の方は特に運動は非常に重要な課題です。運動による筋力アップ、サルコペニア、マイオカインなど話が複雑化しそうなのでこれ以上は割愛します。

註)太るということは中性脂肪(TG)が増えることです。過剰に摂取された炭水化物からTGへ体内で変換されることが判っています。特に果物類は炭水化物が豊富ですが、果物のそれは血糖変動に対する影響よりもTGを増やす傾向があるようです。過剰な脂質からTGへも変換されるでしょうが、脂質は意外に量がとれません。しかしついつい炭水化物は取ってしまいます。TG増加にはこちらの影響が大だと個人的には思っています。しかし勿論、脂肪を摂りすぎる傾向のある方は肥満に注意です。


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