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まずは多くの医療機関で行われているアレルギー性鼻炎の一般的治療法として

i)抗アレルギー経口剤もしくはアレルギー関連経口剤。
ここで使用される薬品はその種類も多く、且つ殆どの方がアレルギー性鼻炎の治療でまず処方される薬剤の事です。

ii)点鼻薬。
鼻詰まりがひどい時や妊婦さんで経口剤や注射を避けたい時に選択。
ただし副鼻腔炎を除外診断。

a)血管収縮点鼻薬:7〜10日以内の使用にとどめること。
それ以上続けると寧ろ悪化してしまいます。
b)ステロイド入り点鼻薬:やや長丁場の花粉による鼻詰まりに使用


特殊な治療として

I)減感作療法〜体質改善の見込みはありますが、一定の通院期間を要し、かつ速効性はありません。
例年辛い思いをされる方が、シーズン前に試みる選択肢の一つ。専門医の治療を必要とします。(特に以下のiとii)

i)注射薬
アレルギー症状を起こす物質(スギ花粉など)を、低濃度から少しずつ注射することにより、患者さんの抵抗力をつけ症状を出にくくする治療法。

ii)舌下免疫療法
すぎ花粉とダニアレルギーの二つに限ります。 満5歳から治療可能

iii)ヒスタグロビン注射
ヒスタミンと免疫グロブリンを合わせた薬のこと。
特定の抗原による減感作療法では有りません。週に1回から2回受診する必要があります。これを3週間続けることで、初めて効果が期待できます。副作用は少ないようです。


II)ケナコルト筋肉注射〜因みに私はよほどでないと行いません。
これは速効性が有り安くてよく効きます。しかしこの治療には賛否両論があります。何故なら中身が「長期に持続するステロイド」ですから。ケナコルト40mg筋注で、プレドニゾロン15mgを2~3週間内服することに相当するようです。
この量はかなり大量なステロイド量といえます。
糖尿病悪化、消化性潰瘍、骨粗鬆症、血圧悪化、副腎皮質の機能低下、顔が膨れる(満月様顔貌)、月経異常、皮下出血、感染症になりやすい、など、一般的に言われているステロイドホルモンによる副作用に注意する必要があります。
ケナコルトの適応症に「アレルギー性鼻炎」とありますので、ちゃんと健康保険適応ではあります。
主治医とよく相談してください。

PS1)セレスタミンというステロイド剤と抗ヒスタミン剤の合剤がずっと以前からあります。
この薬の使用に関しても、漫然とした長期使用はケナコルト筋注に於ける副作用と同様な副作用が危惧されます。点鼻薬として使われるステロイドホルモンはその安全性はほぼ担保されていますが、経口剤や注射薬としてのステロイド剤の使用に関しては、
ことアレルギー性鼻炎の治療に関しては慎重になるべきとの意見が大半です。

PS2)あくまでも私見として。オーソドックスな治療を行い、かつ漢方薬も併用してもまだ難治性の場合。セレスタミンの改良として、プレドニンと眠気のこない第2世代の抗アレルギー剤を併用し、経口剤として短期治療をする選択肢はアリと思っています。ただし、ずっと書いているステロイドの副作用とその効果を天秤にかけ、患者さんと話し合って決める事。幸い、漢方薬もうまく併用できている為かこのような難治例にはまだ遭遇していません。ただし、私自身減感作療法や抗体注射薬の使用経験はありません。


III)生物学的製剤(抗体注射製剤)
2020年より、重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月に抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する治療(保険適応)を行うことができるようになりました。
かなり高額になることと、適応に関しては専門家の知識が必要となり安易な治療では有りません。


IV)耳鼻科医の専門技術による治療
特に鼻詰まりが極端にひどい人に。
a)耳鼻科医による下鼻甲介切除術
b)レーザー治療(再発しやすい方もいるようです)


V)漢方薬治療
i)小青竜湯
アレルギー性鼻炎で1番有名な処方。薄い鼻水やくしゃみの多い方。

ii)苓甘姜味辛夏仁湯 
小青竜湯から麻黄などを取り除きアレンジしたもので心疾患を有する高齢者や胃腸の弱いひとに。

iii)麻黄附子細辛湯 
老人や冷え性で寒冷により鼻水、つまりがあるひとに。

iv)葛根湯加川芎辛夷 
小青竜湯より鼻つまりに対しては効果あり。

v)辛夷清肺湯
慢性的に続く鼻詰まりに。鼻腔の炎症で熱感を伴う傾向があり、これを冷やす目的 で、石膏(セッコウ)、知母(チモ)、黄ゴン(オウゴン)、山梔子(サンシシ)のような清熱薬(セイネツ ヤク)が含まれています。この点で、小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷と適応病態が異なる。

vi)荊芥連翹湯
これも慢性的に続く鼻詰まりに試す価値あり。熱を冷ます生薬が多く辛夷清肺湯に似る。


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