トップへ ->  ■新着記事■  -> 自宅や職場で簡単に出来る糖尿病スクリーニング検査(2022年10月13日)

自宅や職場で簡単に出来る糖尿病スクリーニング検査(2022年10月13日)

病院に行かなくても糖尿病の可能性を否定したり、逆に糖尿病の可能性が高いかを自分で確かめる方法をお教えします。採血も必要ありません。

糖尿病に関する検診項目には血糖検査 HbA1c及び尿検査などがありますがこれらは空腹で検査される事が多いようです。
糖尿病本来の怖さはその血糖変動の大きな落差によるところが大です。本来はその落差を測定して糖尿病を診断するものです。その代表的検査として75gブドウ糖負荷試験(75gOGTT)があります。さらに妊娠糖尿病スクリーニング検査として50gブドウ糖負荷試験(50gOGTT)もあります。これらはトレランG検査とも言われます。このGは勿論glucose(グルコース=ブドウ糖)の事です。因みに形状は液体です。


〜ブドウ糖負荷試験における正常型、境界型糖尿病型、糖尿病型の特徴について〜

75gOGTTの結果
1) 正常型と判定される方の血糖変動は摂取後30〜60分くらいにピークを迎え、殆ど最高値は140mg/dlを超えていません。

2) 境界型糖尿病型の方は負荷後1時間近辺で血糖値がピークになってこの時点の血糖値は多くの例で200mg/dlを僅かに超えています。

3) 糖尿病型の方はその殆どの例で1時間で200mg/dlを大きく超えさらに血糖ピークが2時間の方へずれていっています。

50gOGTTの結果
妊娠糖尿病のスクリーニング検査として50gOGTTがあります。このデータでは負荷後1時間で140mg/dlを超えた人は確定診断のため75gOGTTへ回されるようです。
この事と正常人の日常生活における血糖変動のピークを140mg/dlまでと考えている事と何か符号しています。


〜血糖変動に影響を与えるのはカロリー量なのかブドウ糖換算量なのか〜

75gOGTT(300キロカロー含有)に対して、三大栄養素を一定の割合に含有した糖尿病テストミール検査食(450キロカロリー含有)を糖尿病専門医指導のもとに作成し、双方の比較検討をしたデータがあります。

ここから分かることは
i) 摂取後の血糖変動パターンは固形、液体にかかわらず類似しています。

ii) 300キロカロリーの75gOGTTの方が450キロカロリーのテストミール食よりも、正常型、境界型糖尿病型、糖尿病型のどのタイプにおいてもはるかに血糖変動が高く推移しています。

iii) テストミール食に含まれる炭水化物量はほぼブドウ糖換算量50g相当と計算されます。

これらの負荷試験の結果から食後血糖変動に影響するのはその摂取カロリー量でなく、摂取ブドウ糖換算量によることが分かります。


~糖尿病テストミール負荷試験食からわかること〜

1食につきブドウ糖換算量50gを摂食すると、境界型糖尿病と判断されている方の血糖変動は日常診療で見る軽症糖尿病の方の血糖変動そのものとなります。ましてや糖尿病と診断されている方においてはこの1食ブドウ糖換算量50gは過剰だと判断できます。


〜正常な方の血糖変動及び血糖値と尿糖出現との関係〜

我々の日常の食生活においては次のことが知られています。

1) 正常な方は概ね80~140mg/dlの間で血糖変動しています。

2)血糖値が大体160mg/dl以上になると尿糖が陽性となります。

この事から例外はあるにしても正常な方は食事の有無に関わらず尿糖は常に陰性です。
参考)現在ではあまり100gOGTTは行われませんが、過去のデータを見ると正常とされてる方の血糖値ピークの1時間近辺は160mg/dlくらいでした。
1食100gブドウ糖換算量こえると食後1時間後には例え正常人でも尿糖は出現するかもしれません。


〜空腹時検査では見落としてしまう血糖変動を間接的に反映した検査の提案〜

上述の75gOGTTの結果より次のことが言えます。
75gブドウ糖換算相当量の食事を摂取し1時間を経過した最初の尿検査で尿糖が陰性なら、糖尿病の心配はないと考えていいと判断しますです。何故なら一番血糖値が上昇する1時間を超えて排尿検査をしているからです。
血糖値とはその瞬間のある意味、点の検査ですが、尿検査は採尿するまでの間を反映する、線の検査と考えられます。つまり尿検査は血糖変動の流動性をある意味間接的に反映していると考えられます。


〜糖尿病の有無を自己判断する為に負荷試験を年に1〜2回実施して下さい〜

~貴方は尿糖検査テープを用意するだけ〜

当然糖尿病の診断がすでについてる方は行なわないでください。
では、実際に病院でなく自宅や職場などで具体的にどうするかお話しましょう。

1) 塩おむすび2ヶ

i)白米150gには糖質55g含まれていますが、そのうち白米のGI値75%くらいですのでブドウ糖換算量は55×0.75=41gと計算されます。
おむすび2ヶだとブドウ糖82g相当と概算されます。75gブドウ糖換算相当に減らしても構いません。これを一度に食べたあと、1時間過ぎた時点の採尿で尿糖が陰性で有れば糖尿病の心配は殆どないと考えて構いません。ここでのおむすびは、塩むすびにしておきましょう。何故ならいくらや焼き肉などの蛋白質が豊富な具材が入っていると、カロリーは増えてもブドウ糖換算量は減ってしまうからです。この理屈は別の機会に。
細かい話ついでにこの際のおしんこは普通にとっても血糖値に影響ありません。

ii)ブドウ糖換算量50gに相当するご飯の量180gくらいにした塩むすび摂取後1時間過ぎた時点の尿糖陽性は要注意です。
参考)好みによって、フランスパンや食パンなどで試したい方はそれらのGI値を調べて応用するのも良いでしょう。

2) カレーライス

i)カレーライスは516gの量でブドウ糖換算量83gとのデータがあります。カレーの香辛料自体はブドウ糖は殆どなく、カレールウとご飯でブドウ糖換算量が決まりますので、75gブドウ糖相当量なら、516×75÷83=466ざっくり460~480gのカレーを食べて1時間後に出る尿糖が陰性なら糖尿病は心配しなくていいでしょう。

ii)カレーライスのブドウ糖換算量50gは310g見当と計算されます。この程度の量で1時間後の尿糖陽性は要注意ですので精密検査を勧めます。

3) ラーメン、餃子、半ライスの場合。

i)細かな計算は省略しますが、概ね、ラーメン1杯はブドウ糖40g相当。餃子の皮は大きさによりますが1ケ分で糖質6gで、GI値が60%前後ですので餃子の皮6ヶで約22gくらいのブドウ糖換算量です。ちょっと細かくなりますが、餃子の具材のキャベツやミンチの肉を含んだ餃子自体は6個でブドウ糖換算量15gの報告があります。ここでは詳しくは書きませんが、炭水化物単独よりも他の食材を足すとカロリーが増えても血糖値に影響するブドウ糖換算量は減ります!さて餃子に半ライスを含めた合計は40+15+20=75gブドウ糖相当量となります。です。これらを食べた後同様に尿糖を検査して、陰性なら糖尿病は心配ありません。

ii)これらの組み合わせでブドウ糖換算量50g相当を摂取して、同じく食後1時間をすぎた時点の尿糖が陽性となれば医療機関へ行って下さい。


〜負荷試験とは別の、日頃おススメの尿検査のタイミング〜

上の条件はあくまでも負荷試験ですのでどちらかの検査を年1〜2回程度行うと良いでしょう。
普段使いの尿糖検査では、なんとなく食べすぎた、甘いものを食べすぎたなど、何となく気になった食事の約1時間後の尿糖検査を心がけて下さい。その時点で尿糖陰性なら大丈夫と考えて問題ありません。
尿糖排泄薬治療中もしくはコントロール不良の糖尿病の方は例外ですが、空腹における尿検査では例え糖尿病の方であっても尿糖は陰性のことが殆どです。尿糖検査は1時間後辺りがおすすめです。


トップへ ->  ■新着記事■  -> 自宅や職場で簡単に出来る糖尿病スクリーニング検査(2022年10月13日)