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食事内容は糖尿病治療の基本肝心

糖尿病学会の報告では、糖尿病の人にとって肝心な炭水化物の摂取カロリーが全栄養摂カロリーの55~60%を占めているとしています。このバランスで血糖コントロールが上手くいっている方はそれがあっているという事です。もし糖尿病のコントロールが上手くいってなく薬の増量か食事を頑張るかで迷っている方に一つの提案があります。1日の摂取カロリーを2000キロカロリーで例にとりましょう。これは成人男性にしては決して多くないカロリーです。この中の炭水化物量を60%で計算すると1200キロカロリーとなります。一日三食として一食あたり400キロカロリーになります。炭水化物1gは4キロカロリーとされています。ということは一食における炭水化物摂取量は100gになってしまいます。固形でも液体でも75gの炭水化物摂取で糖尿病の診断をしているにも関わらず、100g摂取に関してはあまり問題視していないことに私はやや異議を唱える立場です。勿論、75gブドウ糖とテストミールに使われた固形炭水化物75gを比較すると微妙には違います。薬剤治療をする以前に運動療法(この稿では詳しくは述べません)と食事の見直しを私は優先しています。肺炎や重症な感染症または膵臓からインスリンが出てこないⅠ型糖尿病の方のインスリン注射は勿論仕方がありませんが、むしろこのような糖尿病の方を我々開業医は診る機会はさほど多くありません。

私は食事と運動の良さを患者さんに伝え、なるべく薬は使ったとしても少量少数、そして万が一インスリン注射が必要な条件下でもできる限り頻回投与は避ける工夫を患者さんの理解とともに行なっています。老々介護でインスリン4回打ちの症例を目の当たりにしたとき、その主治医が果たして自分の身内にこんな治療をするのかなあと疑問に感じた経験があります。働き盛りの方のコントロールで糖毒性を解除するためのあくまでも長期化しない4回うちは反対しません。しかしこの老々介護の例は明らかに状況が異なります。主治医は患者さんを教育して理解してもらって、かつ信用してあげるともっとより良い治療方法が見つかると思っています。

註)インスリン注射を頻回に打っている方。特に超速効性インスリンで食後血糖を下げようとしている方は色々な条件が加わりにくい朝に試していただきたい事があります。朝に通常通りの食事と指示されているインスリンを打つ方法と朝食中の炭水化物を意識して減らしてインスリン量を減らすか、もしくは4単位までならインスリンを打たないで食後の同じ時間に血糖をチェックして比較する試みをして下さい。ただし通常通りの食事中の炭水化物量が多めに摂取されている人に限ります。
この方法はその試みは血糖コントロールが上手くいっている時の方が無難でしょう。食前の血糖値でインスリンの量をスライドする方法がありますが、これは食後の高血糖のコントロールは勿論のこと低血糖予防も意図されています。でも指示された通りにインスリンを打っても低血糖になることをよく耳にします。それはその時のご飯やパンの量が少なかったのかも知れません。あなたはしっかり炭水化物量について把握していますか?
ここでは先ず朝からと書きましたが、一般に働いている方は昼の方が良いかも知れません。
どの食事からトライするのも自由です。


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上の図に提示しているのは、昼のインスリンを減らす、または、中止する例を示しています。

上段/超速効型インスリンは各食前投与で3回投与、更に持続型インスリンを就寝前に投与する指示がされている為に1日4回投与となっています。

下段/昼食前のインスリン投与を回避し、夕食前に超速効性インスリンに続いて持続型インスリンを投与します。持続型インスリンは投与のタイミングを限定する必要がなく夕食前に続けて打つと就寝前投与の手間が省けます。


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